はじめに
「事業計画書」と聞くと、なんだか難しそうで身構えてしまいますよね。「そんな立派なものを書けるだろうか…」と不安になる気持ち、よく分かります。
でも安心してください。事業計画書は、特別な知識がなくても作れます。大切なのは、「自分の教室をこんな風にしたい」という思いを、できるだけ具体的に書き出すことです。
融資を受けるためにも必要ですが、実は自分の頭の中を整理するためにも、事業計画書はとても役立ちます。
この記事では、初めての方でも書けるように、ポイントを分かりやすく解説します。
事業計画書って本当に必要?
「融資を受けないから、事業計画書は不要」と思っていませんか?
実は、融資の有無に関わらず、事業計画書を作ることには大きなメリットがあります。
自分の考えが整理される
頭の中では「なんとなく」分かっていることも、文字にしてみると曖昧な部分が見えてきます。
「本当にこれで生徒さんが集まるだろうか」「収支は大丈夫だろうか」と、具体的に考えるきっかけになります。
数字で現実が見える
「どれくらい生徒さんが集まれば黒字になるのか」を計算することで、漠然とした不安が減ります。
目標も明確になり、「まずは生徒10人を目指そう」といった具体的な一歩が踏み出せます。
家族や協力者への説明資料になる
家族に「音楽教室を開きたい」と話すとき、口頭だけでは伝わりにくいこともあります。
事業計画書があれば、あなたの本気度と計画性が伝わり、理解を得やすくなります。
事業計画書に書く内容
事業計画書には、以下の項目を盛り込みます。難しく考えず、一つずつ埋めていきましょう。
1. 創業の動機・目的
なぜ音楽教室を開きたいのか
ここは、あなたの「思い」を書く部分です。
「小さい頃からピアノが好きで、その楽しさを子どもたちに伝えたい」
「音楽大学で学んだことを活かして、地域に貢献したい」
こうした素直な気持ちを書いてOKです。ただし、融資を受ける場合は、情熱だけでなく「なぜ成功できるのか」も添えましょう。
いという思いが強くなり、音楽教室の開業を決意しました。
これまで5年間、大手音楽教室で講師として勤務し、50人以上の生徒を指導してきた経験があります。
この経験を活かし、一人ひとりに寄り添った丁寧なレッスンを提供することで、地域に愛される教室を作りたいと考えています。
2. 事業内容
誰に、何を、どう提供するのか
ここでは、教室の具体的な内容を書きます。
- ターゲット層: 3歳〜小学生、初心者の大人、音大受験生など
- 提供サービス: 個人レッスン、グループレッスン、オンラインレッスン
- レッスン時間: 1回30分、45分、60分など
- 料金: 月額○○円
- 教室の特徴: 「楽しさ重視」「コンクール対策」「大人初心者歓迎」など
3歳から小学生を対象としたピアノ教室を運営します。個人レッスン(30分/回、月3〜4回)を基本とし、一人ひとりのペースに合わせた丁寧な指導を行います。
月謝は月4回で8,000円(初級)、10,000円(中級)、12,000円(上級)を予定しています。
教室の特徴は、「音楽の楽しさ」を第一に考え、褒めて伸ばす指導を大切にしている点です。保護者とのコミュニケーションも重視し、定期的に練習の様子を報告します。
3. 市場分析・競合分析
この地域で教室を開いて、大丈夫?
自分の教室を開く地域に、どんな需要があるのか、競合はどれくらいいるのかを調べます。
- 地域の人口: 特に子どもの数
- 競合教室の数と料金: 近隣にある音楽教室をリサーチ
- 差別化ポイント: 他の教室と何が違うのか
完璧なデータは不要です。
「近隣に音楽教室は3つあるが、いずれも料金が高め。私の教室は初心者向けの手頃な価格で勝負する」といった簡単な分析で十分です。
4. 販売戦略
どうやって生徒さんを集めるのか
集客方法を具体的に書きます。
- ホームページ・SNSでの情報発信
- チラシのポスティング
- 体験レッスンの実施
- 口コミ・紹介制度
「開業後3ヶ月で体験レッスン10件を目標にする」など、具体的な数字があると説得力が増します。
5. 収支計画
本当に食べていけるの?
ここが一番大切な部分です。数字で現実を見つめましょう。
売上計画の例
生徒10人 × 月謝8,000円 = 月8万円(1年目) 生徒20人 × 月謝8,000円 = 月16万円(2年目) 生徒30人 × 月謝8,000円 = 月24万円(3年目)
経費の例
- 家賃:0円(自宅)または10万円(テナント)
- 光熱費:月5,000円
- 通信費:月5,000円
- 広告費:月1万円
- その他:月5,000円
損益分岐点
「生徒が何人いれば黒字になるか」を計算します。
例:月の固定費が3万円なら、月謝8,000円の場合、4人以上で黒字。
- 最初から大きな売上を期待しない
- 1年目は赤字でも、2〜3年で黒字化を目指す現実的なプランを
- 生徒が集まらない期間の生活費も確保しておく
6. 資金調達計画
お金はどこから調達する?
- 必要な資金: 初期費用100万円、運転資金50万円、合計150万円
- 調達方法: 自己資金80万円、日本政策金融公庫から70万円借入
このように、必要な金額と調達方法を明確にします。
融資を受けるためのポイント
日本政策金融公庫などから融資を受ける場合、以下のポイントを押さえましょう。
自己資金は3割以上
融資を受ける際、自己資金が全体の3割以上あると、審査に通りやすくなります。
例えば、総額150万円必要なら、自己資金は45万円以上あると理想的です。
返済計画を明確に
「毎月いくらずつ返済するのか」「何年で完済するのか」を具体的に書きます。
例:月2万円ずつ返済、3年で完済
面談での注意点
事業計画書を提出すると、担当者との面談があります。
- なぜ音楽教室を開きたいのか
- これまでの経験は?
- 競合との違いは?
- 生徒を集める自信はあるか
- 返済計画に無理はないか
難しい質問ではありません。事業計画書の内容を、自分の言葉で説明できれば大丈夫です。
「緊張して上手く話せなかった…」という方もいますが、熱意と誠実さが伝われば問題ありません。
まとめ:完璧を目指さなくて大丈夫
事業計画書は、完璧である必要はありません。
「こんな教室を作りたい」という思いと、「これくらいの収支になりそう」という現実的な計画があれば、それで十分です。
書いているうちに「ここはもう少し考えないと…」と気づくこともあるでしょう。それこそが、事業計画書を作る価値です。
- 創業動機を素直に書く
- 誰に何を提供するか具体化
- 収支をざっくり計算してみる
- 足りない部分は後から埋める
- 家族や信頼できる人に見てもらう
一人で抱え込まず、商工会議所の創業相談窓口などを活用するのもおすすめです。
無料で相談に乗ってくれますし、事業計画書の添削もしてくれます。
あなたの音楽教室が、多くの生徒さんに愛される場所になりますように。この記事が、その第一歩のお手伝いになれば嬉しいです。