はじめに
「月謝、いくらに設定すればいいんだろう?」 「安すぎると生活できないし、高すぎると生徒が来ない…」
月謝設定は、音楽教室経営で最も悩むポイントの一つです。
安くすれば生徒は集まりやすいけれど、収入が少なくなります。高くすれば収入は増えるけれど、生徒が集まらないかもしれません。
でも、適正な月謝を設定することで、生徒さんにも満足してもらいながら、あなた自身も無理なく教室を続けられます。
この記事では、月謝設定の考え方と、値上げのタイミングを、分かりやすく解説します。
月謝の相場を知る
まず、一般的な月謝の相場を知っておきましょう。
ピアノ教室の月謝相場
こども向け
- 初級(30分):6,000円〜8,000円
- 中級(45分):8,000円〜12,000円
- 上級(60分):12,000円〜15,000円
大人向け
- 初心者(30分):7,000円〜10,000円
- 経験者(45分):10,000円〜15,000円
ただし、これは全国平均です。地域によって大きく変わります。
地域による違い
- 都市部(東京、大阪など):相場より高め(月10,000円〜15,000円)
- 地方都市:相場通り(月8,000円前後)
- 郊外・田舎:相場より安め(月6,000円〜8,000円)
あなたの教室がある地域の相場を、まず調べましょう。
月謝の決め方
相場が分かったら、実際にあなたの教室の月謝を決めていきます。
ステップ1:必要な収入を計算する
まず、「月にいくら稼ぎたいか」を決めます。
例えば、月20万円の収入が必要なら、それを目標にします。
ステップ2:生徒数を想定する
「何人の生徒を持てるか」を考えます。
フルタイムで教えるなら、20〜30人が目安です。週3日だけなら、10〜15人くらいでしょう。
ステップ3:月謝を逆算する
目標収入 ÷ 生徒数 = 月謝
例:
- 月20万円稼ぎたい
- 生徒数は20人を想定
- 20万円 ÷ 20人 = 1万円
この場合、月謝は1万円に設定すればOKです。
目標収入 ÷ 想定生徒数 = 月謝
例:月15万円稼ぎたい、生徒15人 → 15万円 ÷ 15人 = 1万円
ステップ4:相場と比較する
計算した月謝が、地域の相場と大きくズレていないか確認します。
相場が8,000円なのに、1万5,000円だと高すぎて生徒が集まりません。逆に、相場が1万円なのに6,000円だと、安すぎて自分が苦しくなります。
相場の±20%くらいに収めるのが理想です。
月謝に含めるもの・含めないもの
月謝に何を含めるかも、明確にしましょう。
月謝に含めるもの
- レッスン料(月○回)
- レッスン室使用料
- 設備費
月謝とは別にもらうもの
- 入会金(初回のみ)
- 教材費(楽譜代など、実費)
- 発表会費(参加者のみ)
- 冷暖房費(夏・冬のみ、月500円程度)
「月謝8,000円」と言いながら、後から「教材費が毎月2,000円かかります」では、不信感を与えます。
最初から、「月謝8,000円(別途、教材費は実費)」と明記しましょう。
レベル別・年齢別に料金を変える?
多くの音楽教室では、レベルや年齢によって月謝を変えています。
レベル別料金のメリット
- 初級は安く、上級は高くすることで、納得感がある
- 上級になっても続けてもらいやすい
レベル別料金のデメリット
- 管理が複雑になる
- 「レベルが上がると高くなる」と、昇級を嫌がる生徒もいる
一律料金のメリット・デメリット
メリット:
- 分かりやすい
- 管理が楽
デメリット:
- 初級の生徒にとっては高く感じるかも
どちらが良いかは、あなたの教室の方針次第です。小規模な教室なら、一律料金の方が楽です。
値上げのタイミング
「月謝を上げたいけど、生徒が辞めてしまうかも…」
そんな不安から、何年も月謝を据え置いている先生も多いです。
でも、適切なタイミングで値上げすることは、教室を続けていくために必要です。
値上げを検討すべきタイミング
- 開業から3年経過(物価上昇を反映)
- 生徒が増えて、スケジュールがいっぱい
- 先生の経験・実績が増えた(指導歴10年など)
- 近隣の教室が値上げした
- 設備投資をした(新しいピアノを買った、防音工事をしたなど)
値上げの幅
一度に大きく値上げすると、反発が大きいです。1,000円〜2,000円程度の値上げが妥当です。
例:月8,000円 → 月9,000円(1,000円アップ)
値上げの伝え方
値上げを伝えるときは、3ヶ月前には告知しましょう。
「いつもレッスンにお越しいただき、ありがとうございます。
誠に勝手ながら、○月より月謝を改定させていただきます。
現在:月8,000円 改定後:月9,000円(○月分より)
物価上昇や、より良いレッスン環境を整えるため、何卒ご理解いただけますと幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。」
値上げの理由を簡単に説明すると、納得してもらいやすくなります。
既存生徒と新規生徒で分ける方法も
「既存の生徒さんには今の料金のまま、新規の生徒さんからは値上げ後の料金」という方法もあります。
既存の生徒さんへの感謝を示しつつ、新規は新料金で迎えられます。
ただし、管理が複雑になるので、一律値上げの方がシンプルです。
安すぎる月謝のデメリット
「安くすれば生徒が集まるはず」と思って、月謝を相場より大幅に安くするのは、実はリスクがあります。
デメリット1:収入が少なくて続けられない
月謝5,000円で生徒20人でも、月10万円です。ここから経費を引くと、生活が厳しくなります。
デメリット2:「安かろう悪かろう」と思われる
あまりに安いと、「大丈夫?」と不安に思われることもあります。
デメリット3:値上げしにくい
一度安い月謝で始めると、後から値上げするのが難しくなります。
適正価格で堂々と
「高いと思われたらどうしよう…」と不安になる気持ちは分かります。
でも、あなたのレッスンには価値があります。
音大で学んだ知識、何年もの指導経験、一人ひとりに合わせた丁寧なレッスン。それらすべてに、対価を受け取る権利があります。
適正価格を設定して、堂々とレッスンをしましょう。
- 無理なく教室を続けられる
- より良い設備・教材に投資できる
- 先生自身のレッスンや勉強にも時間とお金をかけられる
- 結果的に、生徒さんにも良いレッスンを提供できる
まとめ:月謝は「安さ」ではなく「価値」で決める
月謝設定は、「いくらなら生徒が来るか」ではなく、「あなたのレッスンの価値に見合う金額はいくらか」で決めましょう。
- 地域の相場を調べる
- 目標収入から逆算する
- 相場の±20%に収める
- 3年に1度くらい、値上げを検討
- 値上げは3ヶ月前に告知
- 安すぎる月謝は、長続きしない
「安くしないと生徒が集まらない」と思うかもしれませんが、適正価格でも、あなたのレッスンの価値が伝われば、生徒さんは来てくれます。
自信を持って、適正な月謝を設定してくださいね。応援しています!